新型コロナウィルス感染症に負けない、「免疫力を高める食事」というものはどのようなものでしょうか?
まず「免疫」には、次の三つのステップがあります。
➀「粘膜免疫」~ウィルスや細菌が身体の中に侵入することを防ぐ「免疫の最前線」で、皮膚、気道、消化管などの「外界と体内を分ける上皮細胞」が担います。上皮細胞は粘膜でおおわれているので、「粘膜免疫」と呼ばれます。
➁「自然免疫」~これには二つのシステムが関係します。一つは「炎症細胞・免疫細胞」が異物を食べてしまう仕組みで、この細胞の代表格が「マクロファージ」です。もう一つは「炎症細胞・免疫細胞」が「サイトカイン」という有害物質を出してウィルスや細菌をやっつける仕組みです。
③「適応免疫(獲得免疫)」~「リンパ球」(=リンパ細胞)が「抗体」を産出して、ウィルスや細菌をやっつけます。
「粘膜免疫」 ➡ 「自然免疫」 ➡ 「適応免疫(獲得免疫)」の3ステップで、人間はウィルス・細菌感染から身体を守っているのです。
この「免疫力を高める」ためには、「睡眠」や「運動」が大切ですが、特に「食事」の観点でみると以下のようなことが言えます。
健康な身体を保つためには「三大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物)」が大切なことは、前回触れましたが、これ以外にも鉄やカルシウム等の「ミネラル」や「ビタミン」が必要です。これらを合わせて「五大栄養素」と言います。
「ミネラル」や「ビタミン」は三大栄養素のように多くの量は要りませんが、「身体にとってなくてはならないもの」です。
「免疫力を高める食事」では、これらの「ミネラル」「ビタミン」が特に大切です。
人が必要とする「ミネラル」は16種類あり、「必須ミネラル」と呼ばれます。このうち13種類(亜鉛、カリウム、カルシウム、クロム、セレン、鉄、銅、ナトリウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ヨウ素、リン)は、厚生労働省によって食事摂取基準が定められています。
これらの「ミネラル」の中で、特に「亜鉛」は「免疫力を高める」ことが知られています。「亜鉛」は「ミネラル」の中でも特に必要量が少ない「微量元素」ですが、「酵素が働く時のサポーター(補酵素)」として200以上の酵素の働きにかかわっています。
「亜鉛」は、感冒、HIV、結核、マラリア、呼吸器感染症等様々な感染症疾患の発症率を下げ、症状を軽減させるとする報告が数多くあります。
新型コロナでも、一時「亜鉛」は効果があるように言われ、厚生労働省のホームページにも掲載されたのですが、その後サプリメント等で「亜鉛」を摂りすぎることへの注意喚起が行われ、削除されました。
「亜鉛」は身体の中にため込むことはできないことから、食事として摂取しなければなりません。サプリメントもありますが、厚生労働省の注意喚起でも触れられた通り、大量にとると毒性があるので、食事で摂ることがお薦めです。
食事であれば有害作用を及ぼすほど摂ることは不可能なので、心配せずしっかり摂りましょう。「亜鉛」を多く含む食事は、肉、貝、レバーです。
※「病気にならない新常識」(古川哲史著)から引用しています。
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